「年金がもらえなくなる」という話がある。少子化で高齢者がドンドン増えていくから、と言われている。
この話も例によって、半分真実である。
この話は、若者が損をする、というカラクリの典型として盛んに言われている。
少し面倒な話をすると。
現行の年金制度は賦課(ふか)方式と言って、早い話が「現役世代(若い人)が高齢者の年金を負担する」という仕組みになってる。
何で若者が年寄りの年金を払わなきゃいけないんだ、という声はもっともだけど、日本は長いことこの仕組みでやってきている。なので、今年金を受け取っている高齢者は、「自分たちも若い頃は年金払ってきた。その分をもらってるだけ。何が悪い」くらいに思っている。多分。ボクは年金もらったことないからわかんないけど。
この賦課方式というのは非常に厄介で、今みたいに若者が減って高齢者が増えると、年金払わずにもらう人ばっかり増えることになる。「年金がもらえなくなる」というのはまさにこのこと。実際、徐々にこの傾向、つまり「若者が少なすぎる問題(別名:年寄りが多すぎる問題)」が深刻になってきてるので、年金は既に若者が負担する年金だけではもたなくなっている。なので、現時点で既に、昔(若者が多く年寄りが少なかった頃)の巨額の蓄えがある。これを「年金積立金」という。
既に今の段階で「年金積立金」は少しずつ使われてて、減ってきている。このままいったらなくなるよ…これが「年金がもらえない」のカラクリだ。
でも、若い人にとって少しだけいい話(?)もある。
既に年金を払ってない若者の中には、大きく2つに分かれている。それは「(収入が少ないので)払いたくても払えない派」と、「(収入は一応あるけど)払っても(多分)受け取れないから払わない派」である。
「払えない派」は仕方がない。ないものはない。別に方法を考えないと。政治家をアテにするしかない。
問題は「払わない派」。「払わない派」は年金が要らないのではなく、国がアテにならないので保険会社に払ってるらしい。民間の年金(個人年金)というヤツ。
この民間の年金、ってのがクセモノ。って、別に保険会社の邪魔する気はないけど。
簡単に言います。
民間の年金は純粋に若者が払ったものを老後に渡す。
国の年金(公的年金)は、一人が生涯で払う年金だけで老後を支えるのは額が足りないから、そこに税金を上乗せしてる。この上乗せ分が意外に見過ごされている。この上乗せ分があるので、「現時点では」民間の年金と公的年金とを比較すると、圧倒的に公的年金の方がおトクなのだ。よく考えれば当たり前の話で、公的年金には税金という上乗せがあるのだから、民間の年金より有利になるのは当然。
もう一度言います。上乗せ。
ただし、今までの話は現時点で、の話で、若者が年金を納める額が今後どんどん減っていくと、ホントに(公的)年金はもらえなくなる可能性もある、とも3言われている。実際、年金の未納率はどんどん上がってきている。
結論。ここに書いてることが広く若者に認識されて、国に年金を払う人が増えて、少子化にも歯止めがかかれば、という前提だと、実は年金払っといた方が良かったよね、という事になって、「払わない派」が大損、ってことになりかねない。
因みに、こういう事を考えていくのも、政治家の重要な仕事の一つです。本来は。